昔のうわさ話  
 
Pierre Assouline(ピエール・アスリーヌ:作家、ジャーナリスト。パリ政治学院の講師。ブログ「La Republique des Livres(本の共和国)」は、フランスの教育系TV局 TV5の選ぶベストブログになりました。

2005年出版社賞、2007年フランス言語賞を受賞。)によるエルジェ伝記の英語版が来月に出版される予定になっていますが、タンタンの作者についての古い流言が再びよみがえってきています。

そのひとつは、エルジェが人種差別主義者であり反ユダヤ主義者であるというレッテルです。

それは全く事実と異なっています。

Assouline氏も彼の書籍の中で、エルジェは反ユダヤ排斥主義者ではなかった、そしてエルジェが描いたいくつかの風刺的なものは、30年代のベルギーの情況が考慮されなければならないと語っています。

Philippe Goddinによるエルジェ伝記(2007年/原版)は、これらの“告発”の誤りを立証するに十分な証拠を提供しています。残念ながら、この伝記は現在フランス語とオランダ語のみ入手が可能です。

近年、エルジェを支持する多くの証言や仲裁がありました。
しばらく前に、Abraham Foxman(エイブラハム・H・フォックスマン:アメリカ合衆国最大のユダヤ人団体名誉毀損防止同盟の最高責任者(全国理事で委員長))が同盟を代表して次のようなスピーチをしています
――“不幸にも、多くのクリエイティブの人々が反ユダヤ主義の面倒事でだめにされました、しかしそれがエルジェに襲いかかることはありませんでした”――
スティーブン・スピルバーグのスポークスマンは、世界が全く違っていた50年前あるいは60年前のことについて話すのは時代錯誤的危険性を強調しています。

作家へのこれらの悪意ある行為は、今のこの自由な世界で仕事をしている風刺漫画家への言いがかりと同じ種類のものです。

ベルギーのルーヴァン・ラ・ヌーヴにあるエルジェ・ミュージアムのコンテンツは、エルジェが少数民族、民主主義、そして人権の大義に関して誠実に自分の考えを明らかにしていることを証明しています。

ぜひtintin.comのJournalにアクセスしてみてください。あなた方は、第二次世界大戦中に情報機関のヒーローだったベルギー青年・Henri Dendonckerの姿を見ることでしょう。彼の行動はタンタンから直にインスパイアされたものであり、その価値観は永く心にはっきりと示されていたのです。